日本東洋医学系物理療法学会理事より

喜多嶋毅  大阪市立盲学校講師・奈良県鍼灸マッサージ師会会長

新理事として思うこと、願うこと

 私は盲学校でのあん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの教育を長年担当してきたとは言え、学究の徒ではありません。そのような意味において、本学会の理事にふさわしいかどうか迷いましたが、伝統医学、特に手技においてはまだまだ科学的な根拠に乏しく、経験に基づくところが多い分野と言うことで、各地に埋もれている手技の発掘を志しとして、理事を受けることにしました。本学会においては科学的な追及は大事な仕事でしょうが、各地に眠る伝統的な手技を掘り起こし、それを皆様方に紹介するのも一つの勤めではないかと考えたわけです。幸い、本学会では実技的なセミナーも催すとも聞いていますので、このような場で自分自信の独得の手技、自らの工夫の中で生み出した手技等をそれぞれ御発表いただき、経験的であっても治効に対する評価を行い、私達の基礎技術の向上につながればとも願っています。
現在私は奈良県の鍼灸マッサージ師会の会長もしております。鍼灸師の増加による鍼灸師自体の職域の確保が困難になってきていることはもとより、マッサージ自体についても職域が無資格者等により狭められ、今後どのような方向にもっていくかについても大きな課題となっています。学会は業界の看板ではありませんが、伝統医学のよさ、治効性を検討し、伝統医学の権威付けをしていただけるだけでも、業界にとっても大いに優益な存在となると思います。特に手技に関する学会は皆無と言ってもよく、本会に期待するところは大きいと言えましょう。  さて、本会は北海道大会において、筑波技術大学の緒方教授が新会長となられ、学会として社会的評価を高めるためにも、独立して運営される方針が示されました。本会はあはきに関する研究発表、治験報告等の場であり、各業界にその成果は反映されるべきものです。私も組織強化担当ということで、あはきを研究する大学はもちろん、あはきを教える盲学校、専門学校等の先生方や学生にも入会を勧めていくとともに、治療実践を行っておられる治療家の皆さんにもぜひ入会をお願いしたいと願っております。そして、皆様方の独自の治療法の発表をお願いしたいと考えています。なお、手技の中には、すぽーつ関係、美容関係、リンパドレナージ等、いろいろな分野の手技を行っておられる先生方もおられることでしょう。このような先生方にもぜひ入会いただき、できれば将来は分野別に分科会が設けられ、マッサージが各方面で発展していくことを期待しています。また、学会としましても、いずれ分野別の認定制度の導入も検討されることが予想されます。 鍼灸はもとより、日本の手技の大成に向け、ぜひ本会に参加され、学び、そして自己の能力を最大限に発揮され、学会の場で発表されることをお待ちしております。

 

 

 

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